判例

裁定的関与の落とし前

地裁からずっと気になってた事件が最高裁で決着しました。 旧海上町(現旭市)と銚子市、東庄町にまたがる民間の産業廃棄物最終処分場をめぐり、周辺環境に悪影響を及ぼすとして、地元住民が設置許可取り消しと建設差し止めを求めた行政、民事訴訟で、最高裁…

不服審査の存在意義

果たしてこれも阿部説の勝利、と言えるのかどうか。 課税ミスで固定資産税を多く取られたケースで、不服審判請求(原文ママ)をしないで過払い分の返還が認められるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は3日、「不服審査な…

土壌汚染と瑕疵担保責任

最近は判例のチェックもサボり気味だったので、危うくこんな面白い最高裁判例を見逃すところだった。 平成22年6月1日第三小法廷判決 土地公社が工場跡地を購入したら当該土地の土壌から高濃度のフッ素が検出されたので、民法570条の瑕疵担保責任を求めた、と…

砂川市有地神社違憲訴訟(空知太事件)・最高裁判決(感想・続き)

食器洗い乾燥機が故障したり娘が風邪ひいたり俺が風邪ひいたり色々あって時間があいたが、ようやくじっくり判決文読み直してみた。 重要なポイントは多分「目的効果基準はどうなったのか」と「行政訴訟における当事者主義」の2点。他に「この程度のちっちゃ…

砂川市有地神社違憲訴訟(空知太事件)・最高裁判決(感想)

さて、以下は標記事件の個人的感想などを。 何と言っても本気でびっくりしたのは、本判決が伝統的な「目的効果基準」のフレームを踏襲しなかったこと。津地鎮祭事件(最大判S52.7.13)以降、政教分離についての最高裁判決は皆、判で押したように同事件の判決…

砂川市有地神社違憲訴訟(空知太事件)・最高裁判決(要約版)

予告どおり標記最高裁判決ですが、読むのに2時間かかりました。 愛媛玉串料事件に続く2例目の政教分離違憲判決、というところまでは想定の範囲内でしたが、まさか目的効果基準から距離を置く(否定したわけではない)などという判断があろうとは想像していま…

神戸市外郭団体人件費住民訴訟・高裁判決(その2)

tihoujitiさま経由で、被控訴人(原審原告)のホームページに掲載されている判決文に行き当たりました。多謝。 【判決文】 ……うーん、新聞報道と全然違うなぁ。前回予防線張っといてよかった(こら 債権放棄の議決(正確には、債権を放棄する旨の条例案の議…

神戸市外郭団体人件費住民訴訟・高裁判決

神戸市が外郭団体に支出した補助金は違法として、矢田立郎市長らに返還させるよう市に求めた住民訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、市議会が一審判決後、返還請求権をすべて放棄するとした議決は「議決権の乱用で無効」と判断…

保育所民営化取消請求事件(横浜市)※最高裁

職場で時事通信(i-JAMP)の配信記事見てコーヒー吹きそうになった自治体職員は俺のほかにも全国に1800人くらいいるものと信じたい。 早速裁判所ホームページ見ると既に判決文アップされてる。早ッ。 家に帰ったら早速ブログ更新だぜとか思ってたら娘に…

国家賠償法3条2項

市立中学校の教諭による体罰に関し、費用負担者である県が国賠法3条1項により被害者に損害賠償した場合に、同条2項により学校設置者である市に求償することができるが、その求償権の範囲はどこまでか。 地裁レベルから注目していた事件だったが、ついに最…