自然的原因によるフッ素の基準超過(まとめ)

 全国の土対法関係者の間で、この4月以降、自然由来による土壌汚染、特にフッ素の基準超過が、見過ごせない問題となっています。いったい何が問題なのか、ちょっとまとめてみました。
 法規担当の皆様もぜひご確認ください。きっと貴方のところにも、近々誰かが相談に来ますので(にやり


【有害物質としてのフッ素】

  • フッ素及びその化合物は、水濁法、土対法上の有害物質に指定されている。
  • 環境基準項目に追加される等、有害性が認識されるようになったのは平成13年頃。
  • 長期にわたり摂取すると、斑状歯を引き起こすとされる。
  • 自然界に比較的多く見られる物質である。
  • 海水中に多量に含まれる。

【自然的原因による土壌汚染の取扱い】

  • フッ素、ホウ素、砒素等は、自然的原因により土対法の基準超過となる可能性の高い物質である。
  • 溶出量基準の概ね10倍未満の濃度である、偏在性がない等の一定の要件を満たす場合、自然的原因の可能性が高い。
  • 改正土対法の施行前は、(法令上明文の根拠はないが)土対法の対象となる土壌汚染は人為的原因によるものに限られ、自然的原因による基準超過は土対法の適用外とするのが一般的な運用であった。
  • しかしながら、改正土対法の施行について出された局長通知により、自然的原因によるものであっても土対法の対象として扱うべきものとされた。

【当面の問題】

  • 海岸付近や、海洋浚渫土を用いた埋立地等では、フッ素が基準超過となる可能性が高い。
  • このような土地で3,000平米を超える形質変更が行われる場合、調査命令の対象となる可能性がある。
  • 基準超過の結果、要措置区域等に指定された場合、土地所有者等は対策のコストを要する。自然的原因であるから、汚染原因者に費用負担を求めることもできない。
  • 特に埋立造成等による場合、汚染の範囲が広範にわたるケースが多く、部分的に浄化等の措置を実施したとしてもほとんど実益はないにもかかわらず、法律上は措置の実施が求められる。