水質・地質スラング

 きっと法務スラングより面白くないよ、とか予防線を張りつつ。



【技術的助言】
 分権改革により機関委任事務が廃止され、自治体の行うすべての事務が「自治体の事務」となったことに伴い、法的規範性のある「通達」は廃止され、国の省庁は自治体に対し「技術的助言」を行うことができるのみとなった。
 ところが、技術的助言となっても、通達の時代と同じような断言口調で、法律の条文に明記されていない法解釈を示した通知文書が少なくないことから、自治体環境行政担当者からは「技術的助言っていうのは、相変わらず口は出すが責任は取らなくなったよ、っていうことか」という反発を招いている。
(用例)
「また何か新しい土対法の通知来ましたー」
「はいはい、どうせいつもの技術的助言だろ?また埋立地特例の話か?」

【廃掃法】
 正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」。環境法制における「複雑でわけ分かんなくてダメな法律」の典型例として引き合いに出される。
(用例)
「土対法って、最初は自然的原因の基準超過は土壌汚染として扱わなかったんですよね?」
「環境基本法との総合解釈から、土対法のいう『汚染土壌』には自然的原因を含まないっていう解釈を行う技術的助言が環境省から出されててね。全国の自治体もそれに従ってた」
「それがどうして、急に自然的原因も汚染土壌に含めようって話になったんですか?」
「汚染土壌処理業の許可制度が創設されて、汚染土壌も産廃と同様にマニュフェストで発生から最終処分までを管理する体制が整ったから、これからは自然的原因と人為的原因とを区別せずに、基準超過土壌は法のテーブルに載せて適正処理しましょう、っていう技術的助言が出た」
「……ふーん」
「で、もともと土対法は自然的原因を対象としていなかったから、調査方法なんかも人為的原因を念頭に置いていて、それが急に自然的原因も法の汚染土壌にするって決めたら、人為的原因と同じ調査方法では不具合が生じたから、今慌てて省令やガイドラインで、自然的原因の場合の調査方法の特例を整備してる」
「なるほど。着実に、土対法も廃掃法と同じ道を歩み始めてますね」

環境省なのにエコじゃない】
 環境省から送られてくるポスターやパンフレットが、過剰包装だったり、部数が多すぎたりして、明らかに無駄になりそうな場合に発せられる嘆きの言葉。
(用例)
「何ですか、その巨大な箱?」
「何か分からん。環境省から突然送られてきた」
(開けてみる)
「……ポスター?しかも、この巨大な箱にたった5枚だけ?」
「もっと小さい箱ないんですか?っていうか、筒状に巻いて送ったらもっと包装節約できたんじゃないですか?」
「それ以前に、そもそも、5枚もいらないから」
「……環境省なのにエコじゃなーい(泣)」
(類語)
【子供の落書き用にどうだい?】
【返品不可?】
【こんなもの仕分けられてしまえ】

【共洗いは2回】
 事業場排水や河川水などの採水を行うときは、これから採取する水を使って、最初に採水バケツを洗い、それから採水容器を洗ってから行う。これを共洗いという。
 統計学的には、共洗いを2回実施すれば、バケツや採水容器に残っている汚れの影響を無視できると考えられる。
 転じて、飲み会のときに、他人に酒を勧める口上として使われる。
(用例)
「課長、今何飲んでますか?(ワインの瓶を持って近づく」
「おお、こりゃ日本酒だよ、D-liz君」
「あー、じゃ、ワインなんかは飲まないっすかねー」
「おっ、ワインか、いいねぇ。もらおうか。(日本酒をくいっと飲み干す)」
「どうぞ(半分くらい注ぐ)」
「ふんふん。こりゃうまいワインだ(飲み干す)」
「今のは共洗いですから(もう1回注ぐ)」
「おおっと、共洗いときたか(飲み干す)」
「今のも共洗いですから。共洗いは2回ですから(なみなみと注ぐ)」
「おお、共洗いは2回か、そーかそーか(嬉しそう)」


※ 酒豪でかつ水環境の実務経験が長い上司と、上司の酒の好みを理解した部下とによって築き上げられた信頼関係があって初めて成立する、高度なコミュニケーションです。安易に真似をしてアルハラを招くことのないようご注意ください。