土壌汚染対策法施行規則(コーヒーを注文したら麦茶が出てきた件)

 さて、この3ヶ月の間で、土対法関連での一番大きなニュースは、土対法施行規則等の関係省令等の改正案のパブコメが出されたことでしょう。


上司「あ、なんか『土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令案』とかいうのが出てる」
先輩(土対法担当)「おお、それはもしかして皆が期待してるやつですかね」
上司「……いや?(微かな笑み)」
先輩「(読む)……何じゃこりゃ」
俺(水濁法担当)「自然的原因がって言って産業界が要求してたのって、こういうことじゃないですよね」
先輩「だよなぁ」
同僚(環境保全協定担当)「えーと、すいません。読んでもなんだかよく分かんないんですけど」
俺「つまり、形質変更時要届出区域の区分が、台帳上でさらに細分化されます」
同僚「で、どうなるんですか?」
俺「形質変更を行う場合の施行方法として、帯水層に触ってもオッケーになります」
同僚「……えーと、ちょっと待ってください。それって、誰も喜ばない改正じゃないですか?」
先輩・俺「「うん」」
同僚「産業界が言ってたのって、土壌が搬出できなくて困るって話でしたよね」
先輩「そう。自然由来であっても、要措置区域等に指定されてしまうと、区域外への土壌の搬出は浄化を目的として許可を受けた処理場に運搬する以外には認められないから、新規のプラント建設とかで発生土の処理に多大なコストを要する。だから何とかしてくれ、って話」
同僚「なんでこんな、全然違う内容の改正を、誰も喜ばないのに、わざわざやろうとするんですか?そこんとこが俺さっぱり理解できないんですけど」
俺「うん、それはね。要措置区域等からの土壌の搬出制限って、確か法律マターでしょ」
先輩「法律、法律」
俺「だから、産業界が求めているような、土壌の搬出にかかる制限の緩和っていうことだと、法律を改正しないとできない。でも…ねえ。昨今の国会情勢で、法律改正なんて」
上司「(さらに苦笑)」
俺「だからさ、俺、環境省の担当の人の気持ちも分かるのよ。『自然的原因による形質変更時要届出区域について、なんかいろいろ経済界から言われてるから、ちょっと規制緩和してやって。でも、法改正はできないから、省令でできる範囲でね』って無茶なオーダーを言われて、どうにか知恵を絞って考え出した結果が、今回の改正案なんじゃないかと」
(一同顔を見合わせて苦笑)