父も法規担当

 D-lizの父も、別の自治体で長らく法規担当をしていました(数年前に定年退職)。


父「俺の頃は、行政裁量の範囲はどこまでか、なんちゅう議論があったわけだが」
俺「はあ」
父「昔は、裁判所は行政裁量に立ち入って判断するなんてことはなかったから、行政に裁量がありやなしや、なんてのが重大な問題だったわけだ」
俺「はあ」
父「ところが最近の判例ときたら、裁判所が行政庁に成り代わって判断するんだ、と言わんばかりに、裁量の中身にまで踏み込んできて判断するわけだな」
俺「確かに」
父「そうなってくると、裁量の範囲はどこまでか、っちゅう問題の意味も違ってきて、行政庁の裁量の範囲の問題、じゃなくて、裁判所の裁量の範囲の問題、になってきてるわけだ」
俺「言えてる。現場の自治体職員として、裁量判断するにしても、裁判所がどう考えるかを意識しなきゃいけない、っていう実感はあるね。北村喜宣・上智大教授の受け売りだけど、法律に判断基準が書かれてないものは、法律の施行条例を自治体独自で作ってしまえ、っていう話もある」
父「ほう」
俺「『法にする』っていって、別に条例化でなくても、行手法の処分基準として定めるんでもいいんだけど、とにかく、裁量判断の基準そのものに法的な位置づけを与えることによって、裁量判断の法的正当性を裁判所に対して主張することができるわけだ」
父「なるほど、それは一理あるな。しかしお前、実際、そこまでできるか?」
俺「やぁ、今みたいな話を念頭に置きつつ、それじゃ実務をどうやって片付けるか、っていうのは、また別のいろいろな問題が(頭を掻く)」


 いやあ、家族って素晴らしいなあ(違