障害者自立支援法・廃止までの流れ

 連休前の同僚との会話。
同僚「あ、なんか楽しいことありました?」
俺「分かります?(ニヤニヤ)」
同僚「顔に出てます」
俺「すいません、いや実は、障害者自立支援法訴訟和解(注)のニュースを見ていたんですけどね」
同僚「はあ」
俺「原告団と国との合意文書の内容で、自立支援法は2013年8月までに廃止する、と。まあこれは想定の範囲内だからいいとして、問題はその先。今年4月から、市町村民税世帯非課税者のサービス費と補装具費について、自己負担ゼロにするそうです」
同僚「この4月から、ですか」
俺「で、現状では世帯非課税者について、政令17条で24,600円か15,000円の月額負担上限となっているので、普通に考えれば、政令17条を改正して世帯非課税者を生保等と同じく月額負担上限ゼロ、っていう形にすることが予想されるんですけど、果たして、ちゃんと政令改正されるのかな、ってちょっと不安になって、いろいろシミュレーションしてたら、なんか楽しくなってきちゃいました」
同僚「(苦笑)それはそれは」
俺「例えば、予算だけつけといたからあとは自治体で適切に対処してね、みたいな片付けられ方を、過去何度もされてきてるじゃないですか。向こう3年分の予算まとめて取っといたから、都道府県で今年度中に基金条例作って受け入れてね、基金の取り崩し方は追って通知します、なーんて」
同僚「うわー、すごいどっかで聞いたような話ー」
俺「さらに、支援費制度から自立支援法に移行した際に法定サービスからこぼれ落ちたものを、地域生活支援事業として市町村で拾ってて、そういう事業っていうのは法定サービスと同様に1割自己負担で、政令17条と同じ月額負担上限を定めている市町村が大半なんですけど、地域生活支援事業は市町村の独自事業だから、おそらく今回の国予算では何も裏当てをしてくれないだろうな、と」
同僚「でも、法定サービスが自己負担ゼロになったら、地域生活支援事業だけ1割負担させるわけにはいかないですよね、現実問題として」
俺「その通り。で、2月くらいの課長会議で各自治体の担当者が初めて問題の所在に気づいて、といってももう新年度予算編成終わっちゃってるから、とりあえず今ある予算を半年位先食いして凌いで9月補正で何とか辻褄合わせよう、みたいな事態になるんじゃないかと」
同僚「うわー、なんかすごいよく聞く話ー」



(注)行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟には「和解」は認められないというのが通説です(法律による行政の原理に反する)。このため、原告と被告行政庁との間で何らかの合意が形成された後に、原告の訴えの取下げにより訴訟が終結する、という形が一般的であり、報道で「和解」と言われるものの大半がこのような「実質的和解」です。