廃棄物処理法7条の3の横出し条例

 まだ担当者同士の雑談の域を出ない話だけど、担当課の方と打ち合わせ中そんな話題になったので、今後ちょっと検討してみようと思う。
 一般廃棄物収集運搬業は市町村許可だが、廃棄物処理法7条の3により、以下のいずれかに該当したときは、許可業者に対し事業停止命令を行うことができる。

  • 廃棄物処理法又は同法に基づく処分に違反した場合。(1号)
  • 施設基準に適合しなくなった場合。(2号)
  • 許可条件違反があった場合。(3号)

 ところがこの条文では、「廃棄物処理法以外の法令に違反した場合」とか「廃棄物処理に関する市の条例に違反した場合」だとか「法令の明文の規定に反しないものの、許可業者として相応しくない行為があった場合」については、事業停止命令の根拠条文として使えない。
 許可時に条件として「法令及び条例を遵守すること。」みたいなのを入れておき、法令や条例違反があった場合に許可条件違反として3号で停止命令かける、という姑息な手段もなくはないが、やはり不利益処分の根拠としては明確性を欠くきらいがある。
 そこで、法7条の3各号に掲げられたもの以外に、条例で事業停止命令の要件を追加できないか?ということを検討する余地が生じる。
 これはいわゆる「横出し条例」に当たるので、徳島市公安条例事件最高裁判決の判示事項に従い、廃棄物処理法の規制目的、規制の趣旨(法による限定列記で画一規制の趣旨か、地域ごとに異なる規制を容認する趣旨か)を検討することになる。


 で、廃棄物処理法の制定経緯と一般廃棄物処理業の許可の歴史を(前身の清掃法や汚物掃除法も含めて)検討している途中で力尽きたので今日はこれまで。
 一般廃棄物の処理について、その義務は第一に市町村が負い(6条の2第1項)、許可業者による収集運搬は市町村による収集運搬が困難な場合に限り認められるものであること(7条5項1号)、許可に関し市町村に広範な裁量権を認める裁判例の傾向などを見ると、横出し条例が許容されてしかるべきだろう、と直感的には思うのだけど、もし本当に条例制定するなら、もっと緻密に理論武装しておかないとね。


 既に実施している自治体がある(神戸市条例15条の2)のは、気持ち的には心強いが、今時「他市がやってるからウチもやります」では説明としてあまりにカッコ悪いし。