環境法学習ノート_01

 モチベーションを保つために、勉強した内容を雑駁にメモ書きしていくことにする。
 今日は環境法の歴史を概観。テキスト第1章(3p-25p)。
 途中、教科書にないことも適当に追加。



【4大公害事件】
 4大公害病とも。イタイイタイ病水俣病(熊本水俣病)・新潟水俣病(第2水俣病)・四日市ぜんそくの4つをいう。

イタイイタイ病
 鉱業排水による水質汚染・農用地土壌汚染を原因とする公害病
 原因物質はカドミウム
 カドミウムを含む飲料水・農作物等の摂取により引き起こされたと考えられる。

水俣病(熊本・新潟)】
 化学工業排水による水質汚染・底質汚染を原因とする公害病
 原因物質はメチル水銀アセトアルデヒド製造工程における反応に水銀触媒を用いていたことによる。
 メチル水銀が魚介類の体内に蓄積(生体濃縮)され、これを食べることにより引き起こされたと考えられる。

四日市ぜんそく
 化学工業による大気汚染を原因とする公害病
 原因物質は硫黄酸化物SOx)と考えられる。
 石油化学コンビナートの隣接地において全国平均を大きく上回るぜんそく症状の発生が認められ、硫黄酸化物濃度とぜんそく症状の発生との間に強い疫学的関連性が認められる。

【4大公害病に関する訴訟の経緯】
 いずれも民事訴訟(鉱業法109条又は民法709条)により損害賠償請求訴訟が争われ、一定の賠償責任が認められている。

【公害対策基本法
 公害対策の基本的方向を示す、いわゆる基本法の性質を有する法律であり、昭和42年に制定された。
 制定当初においては、調和条項が置かれていること等、今日の目から見れば不十分な法律であった。

【調和条項】
 環境の保全と経済の発展について調和が図られるようにすべし、という明文の規定。初期の公害対策法令(条例を含む)にはこのような規定を置かれたものが少なくなく、結果的に、公害対策が事後的規制(明白な汚染が発生して初めて、汚染発生地域を区域指定し規制の対象とする)となる結果を招いた。

【公害国会】
 第64回国会(臨時会)においては、多くの公害関係法の制定・重要な改正がされたため、こう呼ばれる。調和条項の撤廃、水質二法に代わる水質汚濁防止法の制定、清掃法に代わる廃棄物処理法の制定等、今日の公害対策法制の基礎が形作られた。

【典型7公害】
 大気汚染・水質汚濁・騒音・振動・地盤沈下・悪臭・土壌汚染の7つをいう。公害対策基本法にいう、国が対策を構じるべき「公害」とは典型7公害のことであり、そのまま公害対策法制の体系を形成している。

【環境訴訟における行政訴訟の利用】
 環境訴訟は当初、損害賠償請求訴訟として争われることが主流であったが、昭和50年代以降、発生源となる施設に対する許認可等、行政庁の処分に対する争いである行政訴訟の事例が増加した。
 しかしながらこの時点では、訴訟要件(原告適格、処分性の有無)に高いハードルがあり、本案の審理に至らない事例が多数であった。

【地球環境問題】
 1990年代以降、地球温暖化オゾン層の破壊、生物多様性の破壊等、地球規模の環境問題が世界的に注目されるようになる。生物多様性条約、気候変動枠組条約等、多国家間の合意による地球環境保全への取り組みが始まった。

オゾン層の破壊】
 フルオロカーボン類(いわゆるフロン)は化学的安定性が強く、人体への有害性もないため、冷媒や溶媒として広く使われていた。
 ところがその後の研究で、地球表面を覆う薄いオゾン(O3)の層が、フロンと反応して破壊されることが分かってきた。オゾン層の破壊は地表に到達する紫外線量の増加を招き、人の健康や自然環境に影響を及ぼすことが考えられる。
 このため、モントリオール議定書によりフロン類の製造は原則禁止され、我が国でもこれを受けて「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」が制定されることにより、フロンの製造規制、ひいては代替品への転換が図られた。

【環境基本法
 我が国の環境法制度は、4大公害病に代表される公害事件に端を発したことから、従来、公害対策基本法に基づく公害対策法制を中心とするものであった。
 これらの公害対策法制は一定の効果を発揮し、昭和40年代以前に見られたような激甚な被害を起こす公害事件は影を潜めるようになった。
 他方、発生源が多様であり、被害も薄く広範囲に及ぶ、新しいタイプの環境問題が浮上してきた(例として、自動車排気による大気汚染や、生活排水による湖沼や湾の富栄養化)。その最たるものとして、地球温暖化生物多様性問題等、地球規模の環境問題があり、これに対応すべき国際的要請が高まってきていた。
 このため平成5年、公害対策基本法に代わって「環境基本法」が制定され、環境汚染に対する規制・対策のみならず、自然環境をはじめとする良好な環境の維持・保全が目的とされるようになった。