調停の待ち時間

 今日は調停のため裁判所に半日ほど出張。
 当市の場合、昔は調停事件は担当課だけで当たらせていたようだが、最近は法規担当も一緒に指定代理人になって裁判所に同行するようにしている。要は、調停が不調に終わり訴訟に移行するケースが多いので、だったら調停段階から法規担当が介入して訟務として処理しよう、という発想だ(案件によっては、調停が申し立てられた時点で、弁護士に委任するケースだってある)。
 ところで、調停のときに毎度悩むのは、待ち時間に何をするか、ということ。大体、市に対して調停を申し立てる申立人は、言いたいことが山ほどあるので、当然の帰結として、市側は相手方待合室でかなり長いこと待つことになる。今日の調停に要した時間は2時間ほどだが、うち1時間半くらいは待合室にいたんじゃないかな。
 で、この相手方待合室というのが、長椅子が並べられている以外にほんとに何もない殺風景な部屋で、考え事や雑談で時間を潰すにも限界がある。しかし、ここでおもむろに読書とか始めてしまっていいものだろうか、仮にも勤務時間中だし、とか、つい考えてしまう(出張の新幹線内で居眠りするのは職務専念義務違反に当たらない、なんていう裁判事例もあったような気がするが)。
 そんなわけで、調停の待ち時間には「法律の教科書を読む」ことにした。これなら今の立場なら「仕事してる」と言えないこともないし。
 今日は要件事実論の入門書をざっくり斜め読み。その中で、要件事実論とは裁判の判決を導く考え方だから、どうしてもオール・オア・ナッシングになってしまうのはやむを得ないが、和解に導く際にも要件事実の考え方が役に立たないわけではなく、むしろ、判決のための要件事実論とは異なる、より緩やかな判断基準としての「和解のための要件事実」の考え方が存在しうるのではないか、という記述があり、大きくうなずく。と同時に、「ああ、調停員さんも大変だナァ」とか思ってしまったり。