行政手続法と行政手続条例

 行政手続法と行政手続条例の適用関係について聞かれる。
「処分の根拠が法律(政令・省令)の場合は行政手続法、処分の根拠が条例(規則)の場合は行政手続条例ですー」とざっくりした説明を返す。行政指導に関して言えば正確な説明ではないのだが、どうせ実務上役に立たない知識なので省略しても差し支えあるまい。
 ところで、質問の趣旨は「法定受託事務は行政手続法、自治事務は行政手続条例とかって分かれてるんですか?」というもので、いや、法定受託事務自治事務とを問わず処分根拠が法律の場合は行手法ですよ、と教科書的な答えを返しておきつつ、ふと、これはなかなか鋭い質問だな、と考えてみた。
 法定受託事務が行手法に服するのはまあ当然として、自治事務について、これは処分根拠が法律だから行手法、これは処分根拠が条例だから行手条例、と区分することの意義が、果たしてあるんだろうか?
 行政指導については、根拠が法律と条例のいずれにあるかを判別することが必ずしも容易ではない(そもそも、法的根拠が明らかでないから行政指導なんじゃないのか?)という理由から、根拠規定による区分ではなく、行政主体による区分となった。
 それで不具合がないのであれば、少なくとも自治事務については、行政主体による区分としても不具合がなさそうな気もするのだが、どうなのだろう。地方分権のもとで自治体が自らのした処分について責任を取らなければならないとすれば(在ブラジル被爆者訴訟(平成19年2月6日第三小法廷判決)が頭をよぎったりする)、自治体のデュープロセスについては自治体に任せてくれないものかな、という気がしないでもない。


 まあ、どうでもいいっちゃどうでもいい話。行手法と行手条例で実質的な規定は何も変わりゃしないんだから、どちらが適用されるかは、実務上まったく差のない話だし。
 喫緊の問題は、事前手続より事後手続ですよ。行政不服審査法はどうなった?あと、裁定的関与をどうしていくのかも明らかにしていただきたい。