文系でも5分で分かる!超ざっくり石油化学工業入門(製油所編)

 自分のための備忘録として。


 われわれの身の回りには、膨大な種類と量の石油製品がある。
 これを作っているのが石油化学工業なのだが、多くは石油化学コンビナートとして、いくつもの工場が連なって立地していて、どの工場がいったい何をやっているのか、素人目にはよく分からない。
 なので、ちょっと整理してみる。


 石油(原油)は、さまざまな性質を持つ油の混合物だ。
 この混合物を性質の違うものごとにより分け、利用できるようにするのが製油所の役割。
 したがって、原油はまず製油所に運ばれ、そこで精製されて、LPG、ガソリン、軽油、重油アスファルトなどとして出荷されるほか、ナフサ、ベンゼンなどは化学工場に送られ様々な石油化学製品の原料となる。


 原油は製油所でまず、常圧蒸留装置(トッパー)という機械にかけられる。
 蒸留というのは、加熱することにより、混合物を沸点の違いによって分離する工程である。原油を常圧蒸留装置にかけると、沸点の違いによりガス、ナフサ、ガソリン、軽油、重油などに分離される。(常圧蒸留装置の残さである最も重い成分は、その後減圧蒸留装置でさらに蒸留して分離される)
 これらは水素化脱硫装置というところで、硫黄などの不純物を取り除かれ、製品となる。
 また、ナフサとガソリンはベンゼンを多く含んでいるが、製品としてはベンゼンのないものが求められるので、脱ベンゼン装置にかけられる。


 製油所で精製された各種の油のうち、ガソリン、灯油、ジェット燃料などは、そのまま燃焼させることを目的とする製品だが、ナフサやベンゼンは、主に石油化学工業における原料として使われるためのものである。
 特にナフサは、石油化学工業のもっとも基礎的な材料であるエチレンをはじめ、プロピレン、ブタン、ブタジエン等を得るための原料である。
 したがって、通常の石油化学コンビナートにおいては、製油所に近接して、大がかりなエチレンプラント(ナフサを加熱してエチレン等を得るためのプラント)を有する化学工場が立地しているわけだ。


 以上、製油所の話、終わり。
 次回があれば次回はきっと、エチレンプラントの話。