民間保育所整備補助金

 すっかり「地方分権の敵」として当ブログにロックオンされた、国の今年度補正予算関連事業だが、まだまだ続く。
 「安心こども基金」を利用した民間保育所整備に対する補助金交付について、要綱を1本策定する予定。補助対象が社会福祉法人なので、補助金交付の根拠条文を地方自治法232条の2ではなく、社会福祉法58条及びこれに基づく条例から持ってくることにする。
 前々から気になっているのだが、社会福祉法58条は何故助成の手続を「条例」で定めることにしているのだろう。というか、自治法232条の2と別に、何故個別の助成規定を設ける必要があったのだろう。憲法89条後段関係に配慮?
 ちなみに、『新行政法辞典』(ぎょうせい)によれば、社会福祉法人は「公の支配に属する」ため、これに対する公金支出は憲法89条に違反しない、というのが通説らしい。加えて言うと、一般的な憲法の教科書(私はいわゆる「4人本」ってやつを使ってます)に書かれていることだが、公の「支配」の英語表記は"control"なので、これを「支配」と訳したことが問題の始まりであって、その語義からすれば、せいぜい「統制」くらいにしておくべきであった、というのもこれまた通説らしい。
 「日本国憲法の改正手続に関する法律」が制定された際に、9条は議論がありそうだからとりあえず置いといて、あまり異論のなさそうな89条後段だけ改正してくれないかな、と思った自治体関係者は俺だけではないはずだ。ほら、私学助成との関係でも若干微妙な論点を含んでいるし。


 ところで、民間保育所整備に対しては「次世代育成支援対策施設整備交付金」(次世代育成支援対策推進法第十一条第一項に規定する交付金に関する省令1条1項1号)があるのに、安心こども基金で補助対象としてしまう、その制度的なバランス感覚がいまいち良く分からないのだが。
 ……いかんいかん。予算事業の話をすると、いつも最後が愚痴になる。