私の頭の中の阿部説

 土対法4条1項の届出は、3,000平米以上の土地の形質変更(掘削又は盛土)について必要とされます。
 ちなみに、改正法の施行(平成22年4月1日)より前に着手されていた(厳密に言うと、改正法の施行日から30日以内に着手された)形質変更については、適用除外となります。


 で、現実の事例。
 例えば、改正法の施行前から操業している砂利採取場があります。
 砂利採取場の事業場面積は10万平米くらいありますが、これについては、区域の全域について改正法の施行前に砂利採取法の認可を受けており、法改正の前後で変わりなく計画的に砂利の採取を進めているものですので、改正法附則第3条により、4条1項の適用外となります。
 ところで、砂利採取計画の認可には期限がありますが、期限内に計画どおりに採取が進まなかった場合、期限の延長を求めて認可の変更申請がされることがあります。この場合、改正法の施行前から同一内容の採取計画に基づいて粛々と砂利採取を進めているだけですので、やはり改正法附則第3条により届出不要と判断できます。
 じゃあ、すでに認可を受けている砂利採取場に隣接した、1万平米くらいの土地について、所有者の同意が得られたので、新たに砂利採取の区域に加える、という場合は。この場合、新たに加わる1万平米分については、改正法附則3条の適用はなく、法4条1項の届出を要する、と解すべきでしょう。
 じゃあ、すでに認可を受けている砂利採取場に隣接した、2,000平米の土地について、所有者の同意が得られたので、新たに砂利採取の区域に加える、という場合は。法改正前から認可を受けている10万平米の事業場は改正法附則3条により届出不要ですし、新たに付け加えられた2,000平米だけでは、4条1項の届出義務が課される規模に当たりませんので、届出不要と考えるべきでしょう。
 じゃあ、すでに認可を受けている砂利採取場に隣接した、2,000平米の土地について、所有者の同意が得られたので、新たに砂利採取の区域に加えますが、法面保護のため、すでに認可を受けている10万平米のうち今回の2,000平米に隣接する部分(約1,000平米)について、当初計画と異なる形で造成を行う、という場合は。


 ……施行通知やガイドライン漁って判断するのが今の俺様の仕事なわけですが、こんなことやってると俺の頭の片隅に住み着いている阿部先生が「立法の不備を解釈で補おうとする努力は不毛だ」と教えてくださるわけですよ。