思いは届かない

 改善にかかる行政指導だって、法に基づく改善命令だって、担当職員は身を切るような思いでやってます。
 正直、後味のいいものではありません。
 改善命令なんてやらずに済んだらこれほど楽で幸せなことはありません。


 だから、お願いだから、言うことを聞いてくれないかなぁ。


 微に入り細に入り、指導を繰り返しているのは、別に意地悪をしようとしているわけじゃなくてね。
 これで改善してくれないことには、こちらとしては、振るいたくもない権限を行使しなければならなくなるのでね。そういう仕事だからね。
 それであなたがたの商売が立ち行かなくなったとしたら、あなたがたも不本意だろうし、もちろんわれわれとしても本意ではない。


 結局、あなたがたが「法律の基準を遵守する能力を身に着ける」ことだけが唯一の落としどころになるわけだ。
 あなたがたに法律遵守能力を向上させようという気持ちがあるのなら、協力は惜しまないつもりだ。その点はもう、信頼してくれとしか言いようがない。
 僕としては常に、法律を遵守し、適正にものごとを片付けるための、最短ルートを提示しているつもりだ。迂遠に見えるかもしれないが、これが最良の方法だと思って勧めている。あなたがたはもっと近道があるんじゃないかと考えているかもしれないが、それは近道ではなくて、法に触れるか、結果的に目的を達成できないか、あるいはその両方だ。


 あなたがたの今すべきことは、萎縮することでも、ご機嫌を取ることでも、目を盗むことでもない。
 どうか、僕が何のためにこんな指導をしているのか理解し、考え、行動してほしい。
 それができないというのなら、双方にとってより好ましくない結論を迎えざるをえない。僕の裁量で大目に見てやる、というわけにはいかないのだ。法律も、行政組織も、根本的にそのへんを見逃してやらない作りになっているのだ。


 そんなことばかり考えているこの年末年始。