実際のところの発生負荷量調査

 さて、総量削減制度のもとで、関係各自治体は、当該自治体の区域における汚濁負荷量の発生状況を毎年確認しなければなりません。
 総量削減計画の策定主体は国及び都府県であり、国は都府県に対し、毎年、当該都府県の区域における汚濁負荷量の発生状況について調査依頼を出します。都府県は発生負荷量の調査を取りまとめるに当たり、政令市分については、政令市に対して調査依頼を出し、政令市から都府県に回答があったものを含めて当該都府県分として取りまとめる必要があります。


後輩(水濁法担当)「情報システム担当課に依頼してたデータの抽出、やっと届きましたよー」
俺(後輩の指導役)「じゃ、これで調査表作れるね。なるべく急いで県に回答してね」
後輩「はぁい。それにしても、今回ヒドいですよ。去年は依頼から締め切りまで1ヶ月くらいあったのに、今年は半月くらいですよー」
俺「だよなー。自分の手元に全データがあるならともかく、発生負荷量調査は、農林部門とか下水道部門とかにデータ提供依頼かけて、データベース化されてるものは情報システム部門にデータ抽出依頼して専門のSEさんにデータ出してもらわないといけないからね」
後輩「データ集めるだけで時間かかっちゃって、俺の方で取りまとめる時間がないですよー」
俺「君もこの仕事だけやってるわけじゃないしな。でもまあ、なるべく急いであげて。俺たちがこんだけ時間がないって文句言ってるってことは、これを全政令市分集めて取りまとめて短期間で国に報告しなきゃいけない県の人たちは、もっと死んでるに違いないから」
後輩「そうですよねー。国がもうちょっと調査期間長く取ってくれれば、こんなことにならないんですけどねー」
俺「まあ、国は国で、業務の実施時期が政局に左右されたりして、別の大変さがあるってのは分かるけど。それにしても、われわれ基礎自治体の職員としては、もうちょっと国も現場の負担がどうなってるのか想像してほしいな、って思っちゃうよね」
後輩「ですよねー」
俺「ちょっと話変わっちゃうかもしれないけどさ、3月に改正水濁法の自治体向け説明会、一緒に行ったじゃない?あのとき、質疑応答の時間で、どっかの自治体から、各事業場が構造等基準や点検基準に適合しているかどうかをどうやって確認するのか、って質問が出たときにさ、環境省の人が『基本的には、自治体が立入調査を実施して確認して頂きたい』って発言してさ、すっげぇ空気寒くなったよね」
後輩「そう!あれ、俺もすごい思ったんですよ、この人何言ってんだろって」
俺「あなたがそんなこと言っても、俺たちは人員も予算もまったく増えないんだよって」
後輩「ですよねー」


 ……理想と現実の溝は深い。