おのぼりさん

先輩「D-liz君、今日の飲み会、会場からバス出るけど使う?」
俺「いえ、東京国際フォーラムから直接行きますので」
先輩「ほーお」


 社団法人水と環境の会主催のシンポジウムに行ってきたのですよ。これからの水環境を真剣に考えるために。…嘘ですごめんなさいただ北村教授のファンだから行ってきただけです。
 さておき、シンポジウムには北村喜宣・上智大教授のほか、企業関係者がお二方、自治体関係者がお一方、そして環境省からお一方がいらして、産・官・学、国・地方のバランスの取れた皆様のご講演&パネルディスカッションで、非常に勉強になりましたことは冗談抜きの事実です。特に、水濁法の実務者としては、企業の方から日頃の取り組み状況をうかがう機会はそれほど多くないので、参考になります。
 とはいえ、このブログの読者の皆様に喜ばれそうな話題を提供してくださったのはやはり北村先生であったわけで、そのご講演のエッセンスを私なりにまとめてみると

  • 水濁法には、以下のような特徴がある。
    • 総量規制制度を除いては、原則として個別の発生源を規制する発想に基づいており、排出水の受け皿である河川や湖沼からの観点を欠いている。
    • 排水基準などの数値化された客観的な基準による評価がされるため、過程への評価を欠いている。
    • 行政的対応と刑事的対応がリンクしていない。特に、法律の目的が単一であることが、刑罰適用に乗り出しやすく、硬直的な刑罰運用を生み出している。
  • 単なる「法の遵守」を超えて、「法の遵守能力の向上」へ進むことが必要。
  • そのためには政策の「統合」、複数の政策アプローチをミックスする「ポリシーミックス」が求められる。例えば、規制を厳しくとる強制的アプローチと、遵守する者にメリットを与える誘導的アプローチが組み合わされてもいいのではないか。

 …日頃「いや当面の対応はそれで分かりましたけどね、私が聞きたいのは、再発防止のためにどうするかってことなんですよ」とか指導してる身としては、大きく頷く箇所多数。


 講演のあとにパネルディスカッションがあって、北村先生がコーディネイターだったのですが、いい意味でキレキレでした。「今回の水濁法の改正で直罰がひとつ増えたことで、廃棄物処理業の許可取り消し用件もひとつ増えたことになり、ことは水濁法だけの問題ではなくなるがどうか?」「廃掃法の優良事業者の更新期間延長のように、一方で義務を重くした部分を他方で緩和するようなトレード・オフは、水濁法では可能か?」「(旧福間町最高裁判決を念頭に置いて)協定の法的効力をどのように評価しているか?」等々、パネリストが汲々とするような質問浴びせまくってまして、ファンとしては大満足でしたことよ。