国民健康保険条例の一部改正(その2)

 ちょっと整理してみる。


【改正動機1:21年度の税制改正に伴う所得割算定方法の改正】
 21年度の税制改正及びこれを踏まえた国民健康保険法施行令の改正を踏まえ、国民健康保険条例中所得割額の算定方法の改正を行うもの。改正内容としては「上場株式等に係る配当所得の金額」が追加された程度だが、ついでに政令も条例(例)も、これまで附則で特例として定めていたこれらの額を恒久的な措置として本則に「格上げ」したため、条例もこれに合わせて本則の改正を行い、附則を削っておくのが無難。


【改正動機2:基礎賦課限度額の引き上げ】
 保険料の基礎賦課額はその限度額が政令で定められている(令29条の7第2項第10号、47万円)が、国は当該政令を改正し、限度額の引き上げを行う意向とのこと。後期高齢者支援金等賦課額の限度額(同条第3項第9号、12万円)と介護納付金賦課額限度額(同条第4項第9号、10万円)も多分上がる。各保険者は政令の基準を踏まえて条例で各限度額を定めているので、政令の限度額引き上げに合わせて限度額引き上げの判断をするのであれば、条例改正が必要。


【改正動機3:保険料の減額率を「6割・4割」から「7割・5割・2割」へ】
 保険料の減額賦課の基準は政令29条の7第5項で定められているが、応益割合に応じて保険者を3通りに分類(45〜55%、35%未満、それ以外)し、それぞれの減額率を「7割・5割・2割」「5割・3割」「6割・4割」と定めているが、政令を改正して要件を緩和し、応益割合45%〜55%に当てはまらない保険者においても、「7割・5割・2割」の減額率を選択できるようにするというもの。政令改正に合わせて22年度の保険料から減額率を変更したい場合、条例改正が必要。


【改正動機4:非自発的失業者の保険料減免(未確定?)】
 非自発的失業者については保険料を減免するらしい。詳細不明。時限的措置らしいが。減額賦課ではなく減免なので、条例の減免の規定に1号足すか、はたまた附則で独立した特例規定を置く形になるのか。なんか政令改正するらしい噂もあるので、ひとまず国の動向を見守ることにする。


【改正動機5:前期高齢者の保険料減免措置の延長(未確定?)】
 現在パブコメ実施中の「高齢者の医療の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令案」によれば、被用者保険の被扶養者であった者が後期高齢者医療に移行する場合、保険料の軽減措置を2年間受けられるが、後期高齢者制度の廃止に向けて、この軽減措置を2年間の時限措置ではなく、制度廃止時までそのまま維持するとのこと。類似の措置を国民健康保険条例で行っている(被用者保険の被扶養者であった前期高齢者が、当該被用者保険の被保険者が後期高齢者医療に移行したために、国民健康保険の被保険者となった場合に、保険料を軽減するもの)場合、これも2年の期間制限を撤廃する必要があると思われるので、条例改正が必要。


※(12/25)一部誤りを削除(見え消し線)しました。詳細はこちらのエントリで。