野田市公契約条例

 うちの市でも多少話題に上るようになってきました。
 個人的見解としては、最低賃金法の定めと異なる最低賃金を定めようとするものであれば違憲だが、契約者の選定基準のひとつに過ぎないというのであれば、ただちに違憲とまでは言えず、したがって、仮に当該条例の有効性が訴訟で争われた場合、最後は合憲限定解釈で落ち着くのではないか。
 その場合に、当該公契約の相手方を拘束するのは、条例の規定そのものではなく、契約書の条項になるわけだが、市の定めた最低賃金を遵守しなかったことを理由に契約解除したり損害賠償を求めたりする条項が、公序良俗に反しないと言えるかどうか。直感的に、結構アブナい気がする。
 あと、このような条例を定めた自治体側からすれば、その分当然に調達コストが上昇するわけで、ここに自治体が人的・財的資源をつぎ込むことの公益性が説明できるかどうか。


 あと余談だが、おそらくこの種の条例の思想的バックボーンとして、ILO94号条約とかアメリカのリビングウェイジ運動とかがあるはずなので、そのへん詳しい人に説明を聞いてみたいところ。直感としては、日本の労働法制や自治体制度と、海外のそれとを比較することなしに、直ちにリビングウェイジ条例を日本で導入するのは無理があると思う。職種別労働協約の文化の有無だとか、アメリカの自治体は住民が集まって自発的に立ち上げるものだが日本の自治体は上から決まった制度だ、とか。
(そんなことを考えながら野田市条例を見ると、最低賃金を定めるに当たり、労使どちらの意見も反映するプロセスがなく、市長が一方的に定めている辺りが、手続的に問題があるのだと思う。)