障害者自立支援法廃止

 というニュースを見たのですよ。

 ご承知のとおり、障害者自立支援法の前には「支援費制度」があったわけで、「措置から契約へ」という流れそのものは、障害者自立支援法が最初だったというわけではない。しかし、支援費制度が財政的に支えきれないことが明白だったから、ほんの数年で応益負担を基本とする自立支援法へと衣替えされた、っていう経緯を考えれば、自立支援法の廃止を言う場合に、単に応能負担の支援費制度に戻せばいいって話にはならないよね。よね?(何故か誰かに念を押してみる)

 契約法の世界っていうのは、基本的にドライな関係であって、当事者間の力関係が契約内容に如実に反映されてしまうものだし、それはそれで仕方ない(嫌なら契約しなきゃいい)という考え方でやっていくものだと思う。
 で、このような契約法の世界に対する行政の介入の仕方っていうのは、そのような力関係の格差が社会的に無視し得ないものであり、放置することが著しく公益を損なう場合に、強行法規としての特別法(例:借地借家法労働基準法独占禁止法など)と、許認可や強制命令などの権限を持った監督官庁が介入していく、っていうのが基本パターンなんじゃないのかな、って思う。
 そういう観点からすると、究極的には憲法25条に由来する社会福祉の分野について、契約法を持ち込むのはやはり無理があったんじゃないか、と思う(契約自由の原則に対し例外的に規制をかけるのではなく、先に福祉という特殊分野があったところに、一般原則としての色合いが強い契約法を、ツールとして部分的に導入しようとした。だから、そう都合のいい結果にはならなかった)。

 福祉分野は、行政が自ら直接手を下すか、そもそも「何もしない」か、どちらかにしておいた方がいいような気がする。私企業に福祉を担わせて公共性のコントロールだけ行政が行おうなんて、そんな虫のいい話、上手くいくはずがないと思えてきた。
 こういう話をする際にもちろん、国家賠償法1条が頭の片隅にあるわけだが()。