審査請求の立証責任

つれーわー決算と審理員手続のピーク重なっちゃってマジつれーわー(ミサワ風)

 

昨年度から引き続き審査請求の案件を(審理員補助者という立場で)抱えているのですが、当事者の主張が微妙に噛み合わなくて困っています。

審査請求人は、弁護士を頼まない限りは素人なので、審査請求書が訟務のプロトコルに乗ってこないのは仕方のないところです(むしろ、形式的な最低限のラインが守られている限りは、適法な審査請求なのですから、請求人の意図を最大限に汲み取って審理手続をいかに有益なものとするかが、審理員の腕の見せ所でしょう)。

問題は、私が関わった事案においては、処分庁の主張・立証にも、少なからず不十分なところがあることです。

 

一般的な民事訴訟行政訴訟においては、自らに優位な主張と、その主張の根拠となる事実の立証は、自身で行うべきものです。

したがって、自治体が訴えられた場合において、原告の主張に関わる事実についてあやふやな部分があった場合には、当該事実の認否に関わる答弁としては「知らない」としておいて、原告のさらなる主張立証を待ってから反論する、という手段もとりえます。

そのせいか、審理員の審理手続きにおいても、処分庁が、聞かれたことだけにしか回答せず、積極的に事実関係を説明しようとしない傾向があるように思うのです(うちの市だけでしょうか…)。

 

審査請求を訴訟と同様に、勝ち負けを第一として負けないための戦略をとるべきものと考えるのであれば、処分庁が余計なことを話すまいとするのも頷けます。

しかしそれでは、審査請求制度は単なる行政訴訟の劣化版になってしまいます。

対審構造を採るとはいえ、行政庁の内部手続である審査請求において、あまり行政訴訟を真似すぎるのも考え物です。訴訟と異なり、行政庁が自ら処分の見直しをする機会であること、違法なものだけでなく不当なものも扱いうることを考えれば、処分行政庁には、訴訟とは異なる形の主張・立証の責任が課せられるとしても、それほど不思議な話ではないでしょう。

少なくとも、争われる対象が行政庁の処分である限り、当該処分に至る事実関係は、審査請求人と処分庁とのどちらに有利な事実かにかかわらず、第一には、処分庁に立証責任があるとするのが、制度として望ましい姿なのではないでしょうか。

 

とりあえず、目の前の案件については、審理員の質問権と物件提出要求権を最大限に行使して、処分庁から必要な事実を引っ張り出すことにします。