新採研修から何を削るか

今度の4月に入庁する新規採用職員の研修の中で、地方自治制度について講義せよというミッションを拝命しております。

持ち時間は3時間。

レジュメとかパワポのスライドとかレッスンプランとかぼちぼち用意しているのですが、3時間で地方自治制度を語るというのはなかなか困難な作業です。ガチれば90分×15コマくらいの講義にするのも余裕なくらい、語るべき内容、伝えたいことは山のようにあります。

しかし、与えられた時間は3時間。そして、相手は新規採用職員です。事務職員だけでなく、消防士も保健師も土木技師もいます。

高度な話・法学的に突っ込んだ話・マニアックな話をしたい気持ちをぐっと堪えて、講義予定から、話すのを諦めた部分を次々切り落としていきます。泣く泣く切り落としていきます。

 

しかし、いざ話すのを諦めてしまうと、切り落とした部分の方が魅力的に見えてきてしまうのはどうしたことか。

例えば、現時点のレッスンプランでは、地方公共団体の種類についての説明はほとんど省略しています(地方自治制度の全体を語ることより、本市に適用される制度の説明を掘り下げることを優先したため)。でも、東京23区の歴史とかめちゃくちゃ面白いんだよなー。戦時中の制度だけでなく、日本国憲法下においても区長公選制が廃止されて、また復活して、と行ったり来たりしてるとことか。

あるいは、公の施設についての説明も、ほぼ割愛する方向です(所属によって関わりの深い部署と全然関わりのない部署があり、それよりは、全員に関わりのある制度の説明に時間を割きたいため)。でも、ここ20年くらいの行革の流れについて知る上で、指定管理者制度はやはり象徴的な制度なのよね。NPMとか行政経営とかいう一連の流れは、最近の公会計改革にもつながってくるわけだし。

とはいえ、平成11年の分権一括法による機関委任事務の廃止の意義については、少し高度な話になるけれど、絶対に削りたくないしなー。これを語るなら、自主条例の話もしたい。条例制定権の範囲と限界を話すなら、徳島市公安条例事件に触れないわけにはいかないし、義務履行確保手段の欠如の話もしたい。宝塚市パチンコ条例事件はさすがに難しすぎるか?

 

そんな感じで、最近は毎日頭ぐるぐるしております。

思えば、私も今まで、多くの先生方から地方自治とか政策法務とかを教わってきたわけですが、先生方も皆さんきっと、その気になれば私の聞いた講義の10倍も20倍も語れる知識と準備を持った上で、所定の講義時間に収まるように取捨選択して、ぎゅぎゅっと濃縮したお話をしてくださったのだろうな、と。そう考えると、すげえな先生、と改めて思ったりもするわけです。