収入証紙の終わる日
お客様「公立高校の受験に使う、印紙?欲しいんですけど」
俺「○○県の収入証紙でよろしいですか」
お客様「そうそう、それ。公立高校の受験用でいいのよね?」
俺「県立高校の受験でしたらこの証紙で大丈夫です。■■市(おとなりの政令市)の市立高校の受験には使えないので、お気を付けください。おいくら分でしょうか」
お客様「いくら?…種類が、あるの?」
俺「全日制と定時制で受験料が違いますので、ご確認をお願いします」
県の収入証紙の売りさばきを当市で行っています。(特例条例による委任事務)
普段、そんなにたくさん売れることはないのですが、危険物取扱者の保安講習の時期と高校受験の時期だけは、飛ぶように売れます。
ところで収入証紙とは、地方自治法で認められた自治体の歳入収納方法のひとつで、あらかじめ購入した証紙を申請書等に貼付することで、申請手数料などを納入したものと認める仕組みです。
市民生活に身近なところで言えば、運転免許の更新手数料とか、パスポートの発行手数料なんかは、証紙で納入するのが一般的です。また、各種許認可の申請手数料は証紙で納入することが多く、したがって、許認可権限を多く持つ道府県は、ほとんどが収入証紙の発行を行っています。
ところが、最大規模の自治体である「東京都」は、現在、収入証紙の発行を行っていません。
東京都が収入証紙の廃止に至った経緯を調べておらず、不勉強で申し訳ないのですが、現在、証紙による収入としているものでも、現金収入に切り替えられるものはありそうな気がします。
先に挙げた、運転免許の更新やパスポートの発行なら、運転免許センターやパスポートセンターの窓口で証紙を買ってすぐに貼り付けて提出する人がほとんどなのですから、現金収納としても支障はない(むしろ簡素化される)ような気がします。
電算化の進展により、決済の方法は多様化しています。自治法施行令もクレジットカード決済やコンビニ収納あたりには対応してきましたが、ネットバンキング、電子マネーなんかをどうしていくかは、まだまだ自治体にとっては未知の領域でしょう。(電子システムの技術的には難しくない気がするので、どちらかといえば法技術的な壁をどう超えるかの問題でしょう)
しかし自治体においても、一方で証紙の便利さを認めつつも、漫然と証紙を使い続けるのではなく、新しい決済方法を比較検討して、導入が必要なものは積極的に導入していくべきではないでしょうか。
そうなると、収入証紙は廃止されるか、そこまで至らないまでも、使用範囲が縮小されていくのが、あるべき姿なのでしょう。
手数料収入的には美味しくないけどね!(売りさばき人に数%のマージンが入る仕組み)
後輩「今日だけで、高校受験用の収入証紙85組売れました」
俺「おおう…すげえ…」